長引く咳の原因は何ですか
咳(せき)は内科の外来でよく見られる、長引きやすい症状の1つです。時には月単位で続く場合もあり、つらい思いをされた方も多いのではないかと存じます。
日本呼吸器学会「咳嗽に関するガイドライン」では、3週間未満の咳を急性咳嗽「きのう・きょうの咳」、3週間以上続く咳を遷延性咳嗽「少し長い咳」、8週間以上続いた咳を慢性咳嗽「長引く咳」と呼んでいます。
3週間の急性咳嗽の場合、最も多い原因は気道の感染症、とくにウイルス性の普通感冒による咳嗽「かぜのあとの咳」です。一方で、咳が1か月2か月と長くなってくると、感染症の咳である可能性は減り始め、感染症以外の咳である可能性がだんだん高くなってきます(図1)。そのとき、胸に影が出る病気を見つけ出す胸部レントゲンは大切な検査になります。
レントゲンで影はありませんでした。どんな病気が考えられますか。
レントゲンで影が出ない咳の原因としては、副鼻腔気管支症候群(蓄膿と気管支炎が同時に起きるなど「鼻と気管支の咳」)、胃食道逆流症「胃酸の咳」、慢性気管支炎「タバコの咳」などが代表的ですが、他の原因もあります。これらでないことを見極めた上で、咳ぜんそく「咳だけのぜんそく」の可能性を探ります。咳ぜんそくをご存知の方も増えてまいりましたが、あくまでもぜんそくの一種であり、長期的な管理を意識した方がよい病気ということになります。(詳しくは、ぜんそくのリンクをご覧ください)
長引く咳にはこれらの原因のいくつかが重なることもあり、丁寧な診断と、適切な治療が必要になります。
当院では、問診と診察を大切にしています。診断の根拠になる情報と、特に背部強制呼気時の聴診で、普通の聴診では聞き取り切れない呼吸音を聴取しています。これらと、必要に応じてレントゲン、肺活量などの呼吸機能検査、呼気検査、血液検査や喀痰検査などの検査を行い、その組み合わせで専門医が診断をしております。またお薬は、とくに咳の治療に必要なものは院内処方できるように多種類取り揃えています。
咳でお困りの方は、何でも遠慮なく相談にいらしてください。お待ちしております。
呼気一酸化窒素(NO)検査
喘息の気管支ではNOが多く作られ、それ以外の気管支では少ないことが知られています。
吐いた息のNOを測定することで、喘息かあるいはそれ以外の咳かの診断に役立てることが出来ます。